法務ログ/Beyond happy paradise

法務ネタ・留学(LL.M/法務部員・弁護士)を中心に記載しています。本ブログは法的アドバイスを目的としたものではありません。https://twitter.com/Ishibayashi

留学(LLM) TOEFL対策 総論

ごく普通の弁護士又は法務部員が上位校(T14あたり)のLLMに進学しようとする場合、TOEFLでは概ね95点以上(通常100点以上)が必要となります。

 

TOEFL対策(100点超え)については様々な方が既に書かれていますが、思うことを書くと以下のとおりです(なお、筆者は、勉強開始前が60~70点代でした。)。

 

TOEFL対策には時間が必要

 筆者は、勉強時間をタイムチャージの様に記録していましたが、60-70点台から100点超えまで600時間程度かかりました(原則机に向かって勉強した時間のみをカウントしています。)。個人差もあると思いますが、500時間前後の勉強時間は必要と思ってください。出願サイクルを考えますと、進学する前年の10月ぐらいまでには100点を超えたいところですので、それまでに500時間程度の勉強時間を確保できる様に、勉強の開始時期を逆算してください。

 

・得点構成

 個人的には、Rで28点、Sで20点、LとWで52点という形が現実的ではないかと思います(LとWは、得意な方で27~29点、苦手な方で23~25点とるイメージ)。日本人の場合、Rで28点以上、Sで20点以上を安定的に取れる様にならないと100点超えは難しい様に思います(逆にいうとRとSでこの点をとるのはそれほど難しくありません。)。

 

・予備校に頼りすぎない。

 予備校の有益性は否定しません。ただ、仮に予備校に通ったとしても勉強時間の大部分は自習となります。予備校に通っていると「とりあえず通った」ことで満足しがちですので、そうならないように注意してください。筆者の個人的な経験としては、予備校よりも自習の方が効率が良い様に思います。

 予備校を使う場合も「あくまで、勉強法や回答法を教えてもらっているだけであり、自習時間の確保が必須である」という意識を持つ様にしてください(このような意識を持つと「結局、自習の方が効率が良いのではないか?」という考えに至ると思います。)。

 

・各科目の対策は以下のとおり(別記事でもう少し詳細に書きます。)

Reading:「TOEFLテスト英単語3800」(より基礎的なところからやる場合は「DUO 3.0」)で単語力を鍛えつつ、「TOEFLテスト基本ボキャブラリー2000」でTOEFLのトピックになれる。その上で公式問題集(青+赤×2)で問題形式に慣れる。公式問題集を解き終わったら、TOEFL MAP Advanceあたりもやる。

Listening::「TOEFLテスト英単語3800」と「TOEFLテスト基本ボキャブラリー2000」をやりつつ、WEB TOEFLの「Leading 18 days」でListeningの基礎力を鍛える。これが完了したら、公式問題集、David Choあたりで、TOEFLの問題形式及び頻出テーマに慣れる。

Speaking:公式問題集で問題形式に慣れる。その上でReadingとListeningがある程度できるようになったら、E4TGに通う。

Writing:IntegratedについてはとにかくListeningを鍛える。Independentは基本的な構造を押さえた上で添削サービスで数をこなす。

留学(LLM) LSACの使い方 その5(Personal Statement / Essay)

LLMの出願においては、Personal Statement(PS)の提出を求められます。LSACへのPSの提出は電子データで問題ないため、送付にかかる時間は気にする必要がありません。

PSに記載すべき内容は①完全に自由、②出願先にて内容を指定、という2種がありますが、基本的には、どこの学校向けのものも以下の内容を書くことになります。

 

(1) 自分の経歴・経験

(2) 自分の専門分野・興味のある分野

(3) 上記を踏まえた留学を希望する理由

例えば、U Pennは以下の様に指定しています(2017年入学の場合)。

 

Your essay may describe how Penn Law would complement earlier studies or prepare you for future professional work; your interest in a particular legal field and its application to existing issues in your country or the world; or more broadly how your study here would serve other goals or interests. We expect applicants to use professional and readable font and spacing.

 

 

具体的な記載に関しては「新装版 大学院留学のためのエッセーと推薦状 (留学応援シリーズ) 」が参考になると思います。

ただ、実際問題としてPSはそこまで重視されている印象がありません(この辺はMBAとかと大きく違う点かと思います。)

なお、1点だけ注意点を述べると、記載要素の(1)-(2)はともかく、しばしば(3)の理由が「その理由ならその出願先大学でなくても良いんじゃないか?」というGeneralすぎる内容の方が多い気がします(例:業務を通じて米国法の知識が必要だと思ったので留学を希望している→米国のLLMならどこでも良いのでは?)。

複数校出願する場合、ある程度の部分は使い回す場合もあるとは思いますが、少なくとも、「何故その学校なのか」(Why harvard/stanford/columbia/NYU/Penn…?)という内容をその学校の強み等を踏まえて記載すべきではないかと思います。

留学(LLM) LSACの使い方 その4(TOEFL)

3. TOEFL

 TOEFLについては、ETSに「●月●日に受験したテストの結果をLSACに送付してください」という申請(有料)を行う必要があります(ETSから送付されたテスト結果は原則として自動でLSAC側で登録されるため、LSAC上での作業は不要。)。

 スコアがETSからLSACに届くまでに申請から1週間程度かかる(申請の翌金曜日発送が原則のようです。)ので、申請は余裕をもって行うようにしてください。

 なお、上記の通り、ETS→LSACの送付がなされるのは、受験者が送付を依頼したテストのみとなります。ただし、1度LSACに送付したテスト結果は、全て、出願先の学校に通知されてしまうので注意してください。

 TOEFLの対策そのものは別の記事に記載します。

留学(LLM) LSACの使い方 その3(推薦状)

2. 推薦状(LoR)

 作成の流れ(推薦者に1から作成をお願いするか、出願者から書いてほしい内容をまとめて推薦者に伝えるか等)は、推薦者次第かと思いますので、ここでは立ち入りません。推薦者の負担を最小限にするロジ周りは以下のとおりです(電子提出でない郵送形式を前提とします。)。

 (1) 推薦者に推薦状の依頼をする。

 (2) 推薦状の内容を詰める(推薦者一任の場合は推薦者次第)。

 (3) 推薦状の内容が固まった(or その旨推薦者から連絡が来た)後、①LSAC宛のラベルを貼った封筒*1、②LSAC発行のLetter of Recommendation Form、③LoR*2、を各推薦状ごとにセットにしたものを、推薦者に渡す*3。そして、LoRにSignして頂き、各推薦状ごとのFormとともに封筒に厳封(Across Sign)していただく*4

 (4)-A 推薦者がEMSを出してくれる場合、各推薦状をまとめて送付する用の大きなEMS用封筒を渡し、適当な送付状と共に各推薦状をまとめて入れてもらい、発送してもらう(注5)。

 (4)-B 出願者自身がEMSで送る場合、各推薦状を出願者に返送してもらい、出願者にて「●●様が作成してくださった推薦状●通をお送りします」といった内容の送付状とともにLSACに送付する*5

 なお、電子提出を使用すると、郵送に必要な1週間弱の時間を省略することができるため、締切ギリギリになってしまった場合、電子提出を用いることをお勧めします。ただし、(まだ)電子提出を認めない学校もあるようなので、出願先が電子提出を認めているかは事前に確認するようにしてください。

*1:封筒はOfficialなものがあればそれを使用して頂く(大学や法律事務所であれば通常存在する)。裁判所関係者の場合は通常このようなものはないが、司法研修所に依頼すると司法研修所の封筒とオフィシャルペーパーをもらうことができるので、元教官についてはこれらを使うことが考えられる(ただし、市販のものを用いたために問題が生じたという話は聞いたことがない。)。なお、上の説明は、事前に封筒を頂戴していることを想定しているが、事前に頂戴していない場合、ラベルのみを送り貼付をお願いすることになる。

*2:LoRも推薦者所属機関のOfficialペーパー(レターヘッド入りのペーパー)があればそれに印刷して頂く。

*3:LoRそのものは推薦者が印刷するのが本来のやり方だと思われるが、Formと各推薦状の組合せ等がややこしく事務作業を推薦者にお願いするのは忍びない(し、推薦者が組合せを間違える可能性もある。)。そのため、推薦者が了承し事前にOfficial Paperを頂戴できる場合、出願者にて印刷も行い、①~③を各推薦状ごとに1セットにした状態で推薦者に渡した方が良いように思われる。

*4:上記は、推薦者と直接お会いするのが難しい場面を想定しているが、直接お会いすることが可能な場合、出願者が推薦者を訪問し、その場でSign以外の事務作業を出願者が行った方が確実かつ推薦者の手間を省くことができる。

*5:注5 このように厳封した推薦状をまとめて送付する場合も、個別の推薦状の封筒ごとにLSACを宛先としたラベルを貼るのが通常。

留学(LLM) LSACの使い方 その2(成績表関係)

1.成績表(Transcript)の送付

 弁護士の場合、基本的に(1)学部、(2)法科大学院、(3)司法研修所、の成績表が必要となります*1*2。また、在学中に国外大学に短期留学しているような場合は、その成績表も必要となります。

 これらについては、①LSACに各教育機関を登録した上でTranscript Request Form(TRF)を印刷する、②各機関所定の申請書(成績表(日英)及び卒業・修了証明書(日英)の発行、TRFの記載、並びに、LSACへの直送の申請)、TRF、手数料、郵券及びLSAC宛のEMS依頼書*3を各機関に送付する、③各機関がLSACに成績表を送付する、④LSACに全機関の成績表が着いたらEvaluationを要請する、という流れになります。

 ②に関し研修所による発行には時間がかかる(2~3週間)ので注意が必要です。また、④のEvaluationは、全ての成績表がLSACについた後で「Evaluationを申請する」という作業を行ってから始まるので注意してください。Evaluationには2週間程度かかるとされていますが、時期によってはもっとかかる場合もあるようです。

 TRFは英語がベタベタ書いてあって一見すると何なのかよくわからないと思いますが一言でいえば「成績表の発行機関からLSACへの送付状」です。大学や研修所はTRFについて何をする必要があるのか理解されてますので「TRFの記入と送付をお願いします」と伝えれば理解してくれます(大学はこのTRFの記入も有料のことが多いです。)。

 

推薦状等のLSACへの送付については、別の記事に記載してます。

*1:LSACでは「あなたのFirst law degreeは何か」という質問がなされますが、法科大学院を卒業している場合は「法科大学院」が、法科大学院を卒業していない場合は「学士(法学士に限らない)+研修所」が、これに該当します。後者の場合、学士と研修所のどちらが主なのかはよく分かりませんが、成績等は研修所がメインに表示されるようです。

*2:LSACに記載されているルールとしては、LLMに出願するには「法科大学院卒」又は「学部卒(法学部に限らない。)+司法研修所修了」が必要となっています。そうすると、学部卒の法務部員・官僚はLLMに進学できないようにも思えますが、大体の学校は交渉すれば出願は可能なようです。

*3:EMS依頼書については、その番号を控えておくことで送付状況をウェブで確認できます。特に期限ぎりぎり等の場合は、進行状況を把握できるように番号を控えておくしておくべきと考えられます。