Law School(LLM)はどれぐらい大変か?
LLM留学を考える際に気になる点の1つとして「Law Schoolの勉強がどれぐらい大変か」というものがあります(私は卒業できるかを真剣に心配していました。)。
結論から言うと、卒業するだけならそれほど大変ではありません*1。私は所属LLMにおいて(日本人を含めた中で)英語力が最底辺だった自信があります*2が、それでも単位を取得し、ほどほどのGPAを確保することは普通にできてます。この点に関して、アメリカの大学には「GPAが一定以上」という卒業要件がありますが、「成績カーブの下限成績(B又はB-)を全ての科目で取得した」としても、この要求GPAを下回りません。「成績カーブの下限成績よりもさらに低い成績(C)*3」を取得し、かつ、B+以上をほとんど取得できないような場合に初めてこの要求GPAを下回り得ます。このようなことは通常生じませんので基本的にGPA要件での卒業不可はないと考えていいと思います。もちろん実例がないわけではないようです*4が、直接の知り合いでCを取ったという話はそもそも聞いたことがありません。
1日10時間勉強してやっと授業について行けたといったことをおっしゃる方もいますが、同期を見る限りそこまで必死に勉強をしていた方はいなかったと思います。参考として、私がとっていたタイムチャージ方式での勉強時間を示すと以下のようになります。
秋学期(9単位*5・約13週間)
・2単位のセミナーの予習:約60時間
・上記セミナーの論文執筆:約100時間
・上記セミナーの授業時間:約26時間
・3単位の講義1の予習:約110時間
・上記講義の授業時間:約40時間
・3単位の講義2の予習:約105時間
・上記講義の授業時間:約40時間
・1単位の講義の予習:30時間
・上記講義の授業時間:約13時間
→合計:約525時間(=約40時間/週)
春学期(12単位・約13週間)
・2単位のセミナーの予習及び提出物作成:約30時間
・上記セミナーの授業時間:約26時間
・4単位の講義:約170時間
・上記講義の授業時間:約52時間
・3単位の講義1:約110時間
・上記講義の授業時間:約40時間
・3単位の講義2:約60時間
・上記講義の授業時間:約40時間
→合計:約528時間(=約40時間/週)
これとは別に試験期間中の試験勉強がありますが、私は予習を割と丁寧にしていたので試験対策にそれほど時間を割いておらず、試験期間中の方が楽をしていたぐらいです(約30時間/週)。
このように勉強時間だけに焦点を当てれば、ホワイト企業でのフルタイム労働時間ぐらいの勉強時間に過ぎないわけです*6。
もちろんこれとは別に異国で暮らすことそのものの大変さはあります*7ので、一概に楽とは言えませんが、少なくとも「Law Schoolは大変と聞くし、私の英語力で卒業できるか不安だ」という懸念は、「単に卒業して学位を取ってくれさえすればよい」と割り切ってしまえば、まあなんとかなります*8。
*1:参考までに記載すると、私の卒業したLLMはT14の1つで、成績評価等においてLLMの優遇はない(JDとの完全混成評価)ところです。
*2:これは謙遜とかじゃなくてマジです。
*3:たとえばNYUの場合、Cは0-5%に付与することになっており、教授にとって付与することが必須ではありません(Examinations & Grading | NYU School of Law)。他の大学でもCの付与が必須ではないはずです。
*4:日本人では10年以上前にコロンビアでこの要件に引っ掛かってしまった方がいます(http://www.vip-club.tv/201704-201803/story/mystory20070927.htm)が、この方の場合、授業選択が冒険的過ぎたことに問題があったように思われます。
*5:導入として夏学期に3単位取得しているので秋学期中の履修は9単位のみ。
*6:これは私が「予習量が多い等の理由で大変とされている授業は1学期に1つまで」というマイルールを採用した影響もありますので、「LLM留学をフル活用(授業の大変さに関わらずとにかく興味のある授業を取る。大学の課外活動にコミットする。)して卒業したい」となるとまた事情が異なります。そのようなフル活用がしたい方は渡米前に少しでも英語力を挙げた方が良いです。
*7:特に家族同伴の場合、家族のケアも必要になります。また、日本に比べて各種事務のレベルが低い傾向にありますので、事務手続にも手間のかかる傾向があります。
*8:とはいえ無事に卒業できたからこそ言えている面もあり、もちろん学期中に憂鬱な気分になったりしたことがあったことは否定しません。