法務ログ/Beyond happy paradise

法務ネタ・留学(LL.M/法務部員・弁護士)を中心に記載しています。本ブログは法的アドバイスを目的としたものではありません。https://twitter.com/Ishibayashi

留学(LLM) LSACの使い方 その3(推薦状)

2. 推薦状(LoR)

 作成の流れ(推薦者に1から作成をお願いするか、出願者から書いてほしい内容をまとめて推薦者に伝えるか等)は、推薦者次第かと思いますので、ここでは立ち入りません。推薦者の負担を最小限にするロジ周りは以下のとおりです(電子提出でない郵送形式を前提とします。)。

 (1) 推薦者に推薦状の依頼をする。

 (2) 推薦状の内容を詰める(推薦者一任の場合は推薦者次第)。

 (3) 推薦状の内容が固まった(or その旨推薦者から連絡が来た)後、①LSAC宛のラベルを貼った封筒*1、②LSAC発行のLetter of Recommendation Form、③LoR*2、を各推薦状ごとにセットにしたものを、推薦者に渡す*3。そして、LoRにSignして頂き、各推薦状ごとのFormとともに封筒に厳封(Across Sign)していただく*4

 (4)-A 推薦者がEMSを出してくれる場合、各推薦状をまとめて送付する用の大きなEMS用封筒を渡し、適当な送付状と共に各推薦状をまとめて入れてもらい、発送してもらう(注5)。

 (4)-B 出願者自身がEMSで送る場合、各推薦状を出願者に返送してもらい、出願者にて「●●様が作成してくださった推薦状●通をお送りします」といった内容の送付状とともにLSACに送付する*5

 なお、電子提出を使用すると、郵送に必要な1週間弱の時間を省略することができるため、締切ギリギリになってしまった場合、電子提出を用いることをお勧めします。ただし、(まだ)電子提出を認めない学校もあるようなので、出願先が電子提出を認めているかは事前に確認するようにしてください。

*1:封筒はOfficialなものがあればそれを使用して頂く(大学や法律事務所であれば通常存在する)。裁判所関係者の場合は通常このようなものはないが、司法研修所に依頼すると司法研修所の封筒とオフィシャルペーパーをもらうことができるので、元教官についてはこれらを使うことが考えられる(ただし、市販のものを用いたために問題が生じたという話は聞いたことがない。)。なお、上の説明は、事前に封筒を頂戴していることを想定しているが、事前に頂戴していない場合、ラベルのみを送り貼付をお願いすることになる。

*2:LoRも推薦者所属機関のOfficialペーパー(レターヘッド入りのペーパー)があればそれに印刷して頂く。

*3:LoRそのものは推薦者が印刷するのが本来のやり方だと思われるが、Formと各推薦状の組合せ等がややこしく事務作業を推薦者にお願いするのは忍びない(し、推薦者が組合せを間違える可能性もある。)。そのため、推薦者が了承し事前にOfficial Paperを頂戴できる場合、出願者にて印刷も行い、①~③を各推薦状ごとに1セットにした状態で推薦者に渡した方が良いように思われる。

*4:上記は、推薦者と直接お会いするのが難しい場面を想定しているが、直接お会いすることが可能な場合、出願者が推薦者を訪問し、その場でSign以外の事務作業を出願者が行った方が確実かつ推薦者の手間を省くことができる。

*5:注5 このように厳封した推薦状をまとめて送付する場合も、個別の推薦状の封筒ごとにLSACを宛先としたラベルを貼るのが通常。

留学(LLM) LSACの使い方 その2(成績表関係)

1.成績表(Transcript)の送付

 弁護士の場合、基本的に(1)学部、(2)法科大学院、(3)司法研修所、の成績表が必要となります*1*2。また、在学中に国外大学に短期留学しているような場合は、その成績表も必要となります。

 これらについては、①LSACに各教育機関を登録した上でTranscript Request Form(TRF)を印刷する、②各機関所定の申請書(成績表(日英)及び卒業・修了証明書(日英)の発行、TRFの記載、並びに、LSACへの直送の申請)、TRF、手数料、郵券及びLSAC宛のEMS依頼書*3を各機関に送付する、③各機関がLSACに成績表を送付する、④LSACに全機関の成績表が着いたらEvaluationを要請する、という流れになります。

 ②に関し研修所による発行には時間がかかる(2~3週間)ので注意が必要です。また、④のEvaluationは、全ての成績表がLSACについた後で「Evaluationを申請する」という作業を行ってから始まるので注意してください。Evaluationには2週間程度かかるとされていますが、時期によってはもっとかかる場合もあるようです。

 TRFは英語がベタベタ書いてあって一見すると何なのかよくわからないと思いますが一言でいえば「成績表の発行機関からLSACへの送付状」です。大学や研修所はTRFについて何をする必要があるのか理解されてますので「TRFの記入と送付をお願いします」と伝えれば理解してくれます(大学はこのTRFの記入も有料のことが多いです。)。

 

推薦状等のLSACへの送付については、別の記事に記載してます。

*1:LSACでは「あなたのFirst law degreeは何か」という質問がなされますが、法科大学院を卒業している場合は「法科大学院」が、法科大学院を卒業していない場合は「学士(法学士に限らない)+研修所」が、これに該当します。後者の場合、学士と研修所のどちらが主なのかはよく分かりませんが、成績等は研修所がメインに表示されるようです。

*2:LSACに記載されているルールとしては、LLMに出願するには「法科大学院卒」又は「学部卒(法学部に限らない。)+司法研修所修了」が必要となっています。そうすると、学部卒の法務部員・官僚はLLMに進学できないようにも思えますが、大体の学校は交渉すれば出願は可能なようです。

*3:EMS依頼書については、その番号を控えておくことで送付状況をウェブで確認できます。特に期限ぎりぎり等の場合は、進行状況を把握できるように番号を控えておくしておくべきと考えられます。

留学(LLM) LSACの使い方 その1(LSAC全般)

LLMの出願においては、基本的にLSACという機関(?)の使用が必須となっています(Harvard等一部例外はあります。)。LSACは出願手続代行のようなもので、履歴書、成績表、推薦状等を一括管理してくれて、出願先に直送してくれるサービスです。これを使うことで、成績表を各校に送る必要がなくなる等の様々なメリットがあります。ただし、(説明が英語であることもあり)使い方に分かりにくい部分が多く、扱いに苦労することがあります。

 

以下、LSACを使う上で疑問が生じやすい点についてまとめます。なお、手続は毎年若干変わるようですし、記憶が不鮮明な部分もありますのでご留意ください。基本的に使いながら慣れるしかないように思います。

 

1. スケジュール感

実際には各作業を行う時期(混む時期かどうか)にもよりますが、概ね以下の期間がかかると考えてください(下記は専ら事務作業に関してかかる期間であり、推薦状とPersonal Statemetには別途作成の時間が必要です。)。結論としては、「事務作業が滞りなく進むと仮定しても2か月かかると考えておくべきである」ということになります。

(1) LSACの登録

 0日(自分の作業が1時間程度)。

 日本人は原則「DAS + ITAES 」の購入が必要です。

(2)成績表関係

 ①出願者から大学・研修所への依頼書の送付:1日~2日

 ②-1大学・大学院の発行作業:1日~1週間(各大学によるが早い場合が多い)

 ②-2研修所の発行作業:2週間~3週間(思ったより時間がかかるので注意)

 ③大学及び研修所からLSACへの直送:3~5日

 ④LSAC側でのEvaluation:1週間~3週間

 以上から、成績表関係は出願できる状況になるまで2か月程度はかかると考えておいた方が良いです。

(3)推薦状関係

 作成期間は推薦者の都合もあるのでcase by caseですが、完成品をLSACが受領すればそれで完了となります(LSAC側の作業はほぼノータイムです。)。そのため、最短なら1週間弱(郵送期間)で出願に使用できる状況になります。また、最近では電子データ形式での送付も可能なので、推薦者が電子データ形式を利用可能であれば、もっと短かくすることも可能です。当然のことながら、作成に要する期間も考えれば、推薦者には締切の2か月以上前からコンタクトしておくべきと考えられます。

(4)TOEFL関係

 ETSにスコア送付依頼をしてから、ETS→LSACの送付がなされるまでに1週間程度かかります。そのため、出願日の2週間程度前までにはETSにスコア送付依頼をする必要があります(採点期間を考えると、出願期限に提出できるのは期限の約1か月前に受けたテストまでと考えられます。)。

(5)Personal Statement 及びResume

 0日(PCからデータ形式で送付することが可能です。当然のことながら作成にはある程度時間が必要です。)

(6)LSAC上でのapplicationの記載作業(住所や興味のある分野等の入力)

 0日(自分の作業次第。ただし、Columbia、U Pennあたりは細かい記載を求められるのである程度時間がかかると考えた方がよい。)

(7)上記(6)完了後

 上記(6)が完了した後に、①ApplicationのLSACから出願校への送付作業、②①を受けた出願校によるLSACに対するlaw school reportの送付要請、③②を受けたLSACによるlaw school reportの送付、が順次なされます。②と③には一定の日数(1週間弱)がかかる場合があるようですが、基本的に(1)-(6)と(7)①がdeadlineまでに完了していればよいようです(ただし、②・③も含めてdeadlineまでに完了している必要がある学校もあるらしいので、個別に確認はしてください。)。

   

成績表・推薦状等のLSACへの送付については、別の記事に記載します。

このブログについて

このブログでは、

 ・ 法務ネタ

 ・ 法務パーソン(法務部員・弁護士)の留学に関するTips

を書き綴っています。

 

情報の正確性はできる限り確認していますが、必ずしも裏取りができているわけではないのでご注意ください。